最初の冬、最後の春

  ・・・

その年の冬は、とても寒い日が多かったけど、天気の良い日には、僕たちは良く散歩をした。

僕達は、いつもの公園を突っ切って、そのあたりをぶらぶら歩き写真を撮ったり、ベンチに腰掛けて、暖かい缶コーヒーを分け合いながら、野良猫の毛並みの差について議論したりした。

僕はいつもの通りくだらない冗談を言い、彼女はいつもの通り笑っていた。

「あなたって、ホントに面白いよね。そういうくだらないところが好き。」

僕は、彼女の笑顔を見て、とても暖かな気持ちになった。

ニュースは、その年の降雪量は記録的なものだったことを伝えていた。
公園では、花も少し咲き始めていた。
僕たちの最初の冬はそうやって、徐々に最後の春へと向かっていた。

 

目次

Copyright (C) SEKI, Hirotaka, all rights reserved.