「本来いるべき場所」

その年の夏はとても暑い日が続く夏だった。

大学生だった僕は、昼までで終わったアルバイトの帰り、車のエアコンディショナーを目一杯にして、フィル・コリンズの「テイク・ミー・ホーム」を何度も何度も繰り返しかけていた。

突然僕は、随分遠いところまで来てしまったことに気が付いた。

僕には故郷と呼ぶようなものはないけど、なぜか“本来いるべき場所”にとても帰りたくなった。

そのときは、その“本来いるべき場所”はどこなのか、まったく分からず、その行き場のない郷愁の扱いに戸惑っていた。

だけど、最近、ようやく分かった。

僕の故郷は、愛すべき人のいるところなのだ、と。

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