同じ列車、別の終点。

その日はとても寒い日だったので、僕はお気に入りのニットのジャケットの下にタートルネックスウェーターとシャツを着込んで、これもお気に入りのストライプのマフラーを首にぐるぐる巻いて、地下鉄に乗った。

ほぼ半年ぶりにこの時間この電車に乗ったのだけど、ちょうど人が一番少ない時間帯で、乗客は皆、思い思いのことをしながら、ひとつながりの座席をまるでそれぞれの部屋のようにして、くつろいでいるように見えた。

この地下鉄は、途中、一旦地上に出て高架を走るのだけど、いつもそのまま飛び立って行くような錯覚に陥る。


僕はこの列車に何度乗っただろう。

ついこの前までは、この時刻この列車に乗ることは、とても嬉しいことだった。
でも、今はこの時間この列車に乗ることは、とても辛いことだ。

僕を乗せて電車はどんどん走って行く、これまでとは違う行き先に向けて。


 

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