理想的なゴールデンウィークについて

その年のゴールデンウィークが、僕たちに取っての最初のゴールデンウィークだった。

僕たちは、ドライブに行く予定を立てたのだけど、とてつもない渋滞に巻き込まれ、結局、途中で帰ってくる羽目になった。
それから僕たちはどこに行くのもあきらめて、部屋で映画を見たり、散歩に出たりして過ごすことにした。

ヴィデオのレンタルショップまで、僕たちはいつも通る表通りではなく、1つ入った裏通りをぶらぶら歩くことにした。

まったく普通の、どうってことない路地だ。
一人で歩いていたら、なんと言うこともなく通り過ぎてしまうところだけど、二人で歩くといろんな発見があった。

僕たちは路地にあるいろんなものを写真に撮り、こっちの方から撮った方が良いだの、もっと近づいた方が良いだの、と言いながら、ぶらぶら歩いた。
途中ですずめの変な鳴き声に大笑いし、風変わりな店の看板を見て勝手に商売の内容を創作したりした。

帰り道、僕たちはコンビニエンスストアでコロッケを買い、近くの公園で並んで座って食べた。僕たちは、公園にいる鳩の行動を観察をし、臆病なカラスと物怖じしない野良猫の対決を観戦した。

少しはなれたところで、親子がキャッチボールをしていた。遠くから微かにセスナ機のプロペラの音がする。

  「あ、風船。」

君が指差す方向を見ると、遠くて小さいけど、たくさんの風船が空に吸い込まれていくのが見えた。

  ・・・

晴れた穏やかな風の吹く休日。

こんな時間がいつまで続くのか分からなかったけど、僕たちは(少なくとも僕は)、この時間がずっと続くように祈っていた。

それは、僕が何もかもを失う前の話だ。


 

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